柿崎 兆2015年09月01日

水門/柿崎兆
写真は「水門/柿崎兆/1986年制作 木版」です。

初めて柿崎兆の名前を知ったのは、ちょうどこの作品が制作された頃だったと思います。何処かの画廊が出した広告に名前とともにこの作品が載っていました。

作品と名前が妙に興味をそそりました。

しばらく気になっていて、いよいよ近くの画廊に問い合わせたところ、取り扱い画廊がないので作家から直接仕入れたと言うことです。まだまだ無名に近い作家で1作品何千円かだったと思います。このとき数点購入しました。

特に、この「水門」には少しの間、息を止めてしまうくらい見入ります。

その後、個展などの情報もなく数年過ぎた頃、美術雑誌で盛んに柿崎作品が取り上げられました。ブームを作ろうと、そんな思惑があったのかどうか?・・・。瞬く間に価格は急騰し、手も足も出なくなってしまいました。

作家が評価されるのはうれしいのですが、今度はその作品が手に入らなくなってしまうのはなんだか寂しい気もします。

版画の良いところは、版画の表現そのものと複数の実物がありその分値段が安いと言うところです。

それでは、勢い作品枚数を数多くと言いたいところですが、柿崎作品の摺痕・・・特に裏面など見ると、そう多くは刷れないなと思えてきます(そう、版画は作品の裏側やまたは透かしてみる楽しさもあります)。

裏側に力強さが隠れていました。