マグリットでなくマーガレット2015年04月30日

マグリット展が6月29日まで国立新美術館に於いて開催中です。

池田満寿夫は作品名「マグリットでなくマーガレット」を1970年に発表しています。池田満寿夫は誰にでもわかる形で或る作家の形を引用し自身の芸術とした作家であったと私は思っています。その中でも、マグリットからの引用は1960年代半ばから1970年代前半まで続きその引用は、ある時から見られなくなります。

「マグリットでなくマーガレット」はマグリットの「ゴルコンダ」を、この頃の池田満寿夫のブルーと白い雲はマグリットの「空の鳥」を想わせます。また、池田満寿夫のキューブを縁取った細い黒の線はマグリットのキャンパスの線です。こんなに分かり易く他者を引用しながら自分の芸術にしてしまった池田満寿夫という作家は、やはり、たいした才能だったのだと今回のマグリット展を観て、一人納得しました。

昨日は東京にいる子らと待ち合わせをしてマグリット展へ出かけました。マグリット゛知らねぇ゛ーと言う子らに、こういう見方もあるんだと、池田満寿夫のマグリットからの引用を一人で語った一日になりました。

建築における引用か模倣か、難しいですね。どちらも無かったら、奇異な街になってしまいそうだし、個性と言う模倣があふれても一時で飽きられてしまいそうだし・・・。芸術は時代が振り落としてくれるので、基本的に良いものが残ると言われるようですが、常に使われ続けなければならない建築にとっての最良の解は引用か模倣かはたまた独創か? こんな事も、昨日は少し思った一日になりました。

国立新美術館は黒川 紀章にとって最晩年の作(ウィキペディアで見ました)・・・竣工した当時、巨大なガラスの掃除は大変だなぁと、ちまちました心配が頭をよぎりました・・何せ美術館ですからね。昨日見て、ガラスはやっぱり汚かった。展示された美術品は百年近く経つのにピカピカ・・・うらやましいですね。