市街化調整区域2015年08月24日

のどかな草原/大野隆司
栃木県内のおおよそ2/3の地域が都市計画法により都市計画区域の指定がされ、その都市計画区域内の1/2位が市街化区域と市街化調整区域に線引きされた区域になっています。

最近、ある行政担当者の発言には驚きました。「市街化調整区域は建築を抑制する地域」だというのです。えぇ・・、ほんとかよと思い、それは違うだろうと反論しました。

都市計画法により市街化調整区域は「市街化を抑制すべき地域とする」とあります。建築を抑制すべきとはどこにもありません。こんな事をしたら、たちまち地域社会は崩壊してしまいます。

一般に、市街化調整区域における建築行為は都市計画法による手続きを要し、許可を必要とします。ただし、農林水産関係の建物およ同従事者の住居は許可を要しないと都市計画法に明示されています。

それでは、農林水産関係以外の建物や住居はと言うと、若干曖昧ながら都市計画法および都市計画法施行令に、「開発許可を受けた土地以外における建築等の制限(法)」 「開発の許可を要しない通常の管理行為、軽易な行為その他の行為(施行令)」としてあります。

都市計画区域指定以前からの建物については都市計画法による許可を要しないと言っているのです。ただし、法律用語がその解釈を曖昧にします。

建築を抑制すると言う立場で法を解釈すれば、建築を抑制させるためには次々と課題を押しつけ、将来の可能性まで説明させ挙げ句、具体的な担保を要求することになります。住宅の建て替えや増築についてこうなのですから、この行政は本当に建築を抑制するつもりで居るんだと思えてきます。

ところが、同じ行政が市街化調整区域の規制緩和を次の理由で行っています。規制緩和の目的・・「既存集落の地域のコミュニティの維持と活性化を図ります」

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写真は「のどかな草原/大野隆司・1971制作」です。制作過程について作者本人が次のように解説しています。

           作品について
この牛の図は、初め大地の色を黄緑色にして摺りました。それは、一面広大な草原のように見え、牛はのどかに横になり笑っているようでした。しかし、これでは単にボーッとしている牛にしか見えません。それもいいのですが、私にはもの足りなく感じました。そこで、草原も荒れ地にし、草を丸刀で彫り進み、まだらにしてみました。私の意図するところは、かわいらしく楽しい作品の中にも、多少の力強さと希望とを入れたいと、今はそう考えているのです。
このようにして牛の図が出来上がりました。たかが人生です。されど---。大地の表現を変えたときから、牛はボーッとしているのではなく立ち上がろうとしているようになりました。
                             大野隆司

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