judge-42015年07月01日

報道、特にTV報道での煙のまき方には感心させられます。

何が問題なのか、何に対する批判なのか、観ていてもさっぱり解りません。新国立競技場についての報道です。

建設費の件でしょうか?
デザインの件でしょうか?

情報バラエティは論外として、ニュースショーでの批判のような、個人の感想のような内容には何も見えてきません。

建設費が高額で決まりそうだというのが問題なのでしょうか。それも、予定より900億増えてしまったと、関係者の話を肯定しています。あげく、震災復興による資材・人件費の高騰、消費税増税と言い訳まで用意してくれます。900億の増加だって、いつの間にか当初予算は1625億になっています。あれれ、当初予算は1300億のはずですが・・・。また、今回決まりそうだという予算には開閉屋根(遮音装置と言っている)は入っていないようです。それじゃあ、本当の当初予算からいくら増えるの? 確かにこの件は大問題のようです(TVを見ている限り工期も迫っているし、まぁ、しょうがないかという雰囲気さえ伝わってきます・・・ここまで来るとTVはオリンピックの開会式の映像が問題で、もぅ、頭はそっちでいっぱい・・・こんなところまで想像できてしまいます)。

デザインの好き嫌いまでコメントしてくれます。
物事を進めるには、どこかで誰かが事を決断しなければなりません。デザインだけの件であれば、好き嫌いである円いの四角いのを言う意味がどこにあるのでしよう。

500億の事業でも高いかも知れません。または、5000億の事業でもやる必要があるかも知れません。何のために誰が何をしたか何をしているか、少なくとも公共の建物が今作られている、その事実を報道してもらいたいと思うのです。いかにも批判的に見える報道は唯々小さな不満のガス抜きでしかないように見えます。

300B2015年07月06日

WE300Bは、すでに絶望的なほど高価になってしまった真空管です。

いつかは300Bのシングルアンプで鳴らしてみたいと、リビングの重しのようになったスピーカーを大事に残しておきました。

2年くらい経つでしょうか、「ソフトン」のModel8-300Bというアンプを見つけて、悩みましたが買うことにしました(ここで使われている真空管はWE300Bではありません)。CDプレーヤーの出力を直接Model8に繋ぐだけという簡単な構成で聞くことにしました。

WE300Bの音というのをかつて何処かで聞いたのかも知れません。でも、そんなのは記憶のどこにもありませんでした。

Model8-300B、これがなかなか良いのです。近頃の過剰(?)に良い録音もよく鳴ります。少し前のヒスノイズが聞こえる録音も嫌な音ではありません。

値段に比べてなどと、勢い話の筋を費用対効果の方に持って行かれそうですが、全く意味のないことに気づかされます。それくらい、ただただいい音で鳴ります。

先代のラブラドールは音に過敏で、ちょっと大きめな音は音楽でもだめでした・・・恨めしい顔をしてトイレに逃げ込みます。今のラブラドールは音楽ならどんなに大きな音でも全くとんちゃくしません。私も安心して音を楽しめます。

judge-52015年07月07日

当初、ザハ・ハディド案はデザインコンペとはいえ、建築されるとしたらどんなふうに出来上がるのか、完成が楽しみでもありました。

その後、日本の大手設計事務所より出てきた基本計画案は当初案とは全く別物・・・まぁ、原案のザハ設計監修、日本の設計事務所も、よくやるよなぁ、という感じでした。ガッカリもいいところです。

去年の5月、そのガッカリ基本計画案が出て、それから一年経った今頃になって金だぁ工期だと・・・。すっかり金の問題に慣らされた今頃、まぁまぁ予想通り、大幅増額、各種問題先送りで全て丸く収まったと、というか決まったとか。

1300→1625→2520 すべて億円 これでもまだ最後ではないと言う大臣の話です。 本当に必要でやる意味があると思うなら最初から5000億円と言えばいいように思うのですが・・・ひとの金なのでつい太っ腹になります。

舛添都知事「都民に納得できる説明を・・・・」と言うことは500億円、払うつもりなんでしょうね。競技場だけの工事ではないので、きまればもっと太っ腹で行くのでしょう。

それにしても、設計契約の開示もないままいつの間に設計は出来上がったのでしょう?。白煙と狼煙があちこち上がっているので報道は何をしたら良いか分からないと言うことのようです。新国立競技場そのものより、どういうふうに報道されるか、こちらに興味を引かれます。想像が当たっていたりすると、なんとも嫌な展開です。

大野隆司 木版画作品集2015年07月09日

1986年「大野隆司木版画作品集」(非売品)として発表されたなかに「眠むる」と題され収められています。

私は、黒く丸い形が好きです。墨刷りなので当然白黒、波立つような彫り痕・摺痕、眠りの中にあるはずの目は何を窺っているのでしょうか。やはり、眠りの中にあるはずの耳には何が聞こえてくるのでしょう。

「自由に作ったものばかりですが、まず自分が先にたのしんでしまいすぎ、・・・」とあとがきにあります。

手に取って見られる小さな作品からは、作者とは違った楽しみが湧き上がってきます。

そんなこんなで楽しんでいたら、経済の怪しさで世の中、急にざわつき始めました。

剣道場の床2015年07月13日

その激しさは屋内スポーツのなかで一番ではないかと思います。私自身は学校の授業で防具を着けた程度なので身をもって体験しているわけではないのですが、練習風景を間近で見るとその激しさが伝わってきます。

激しさの証拠に、彼らは防具を着けているのですが、動きの軽やかさに感動さえ覚えます。

厳しい打ち込みには相当な負担を下半身が受け止めているようです。また、脚さばきには床の仕上げが重要だというのが想像できます。

初めての剣道場の設計ではおおよそこの辺までは想像できたのですが、実際、具体的な設計を考えた場合、特に床に関して困りました。

公共施設などの剣道場ではスチール製の床支持材にゴムを挟み込んだ剣道場床下地材として製品化されたものを使っているようです。少し古い剣道場ではスチール板バネが組み込まれたものもあります。また、木材の自然のたわみをクッションに使ったと思われるものもありました。

今回の建物はごく小規模なこともあり、出来るだけ一般の大工工事で施工できる事、また、バネの特性は柔らかいところから堅いバネで止まる事をイメージすることにしました。

柔らかいバネのイメージは柔らかいゴムと床下地材の撓りを、堅いバネは堅いゴムと床材の撓りをイメージしました。図面はそんなイメージから出来上がったものです。

EXLIBRIS2015年07月15日

紙屋清貴の作品です。「KAMIYA EXLIBRIS」と画かれていることから作者本人の蔵書票として作ったもののようです。

陽刻された簡素な線から爽やかな風景が見えてきます。油絵がメインの画家のようですが、木版画での陽刻された簡素な線の表現は俊逸です。

WTC2015年07月17日

1WTCは昨年完成し今年になって展望台がオープンしたそうです。
来年には計画する全てのビルが完成するようです。「9.11」の大惨事から15年が経ちます。

1973年当時、私は、竣工間近なWTCで(1棟ずつ1年程度完成に時間差があったと思います)、間違って工事中のビルの何十階かへ上がってしまいました。もちろん、普通のエレベーターに乗って扉が開いたら軽量鉄骨の壁下地が立ち並んで職人はネコなど押していたのにはびっくりしてしまいました。慌てて降りて隣のビルのエレベーターに乗り換えて目的の場所へたどり着いたのを思い出します。写真左はその1973年当時のものです。まだ、外構は工事中の様子がうっすら分かります。

当時は、セキュリティーも工事中の安全も何もなかったのですね。その後一度のテロでセキュリティは強化されたのですが、空からのテロで倒壊してしまいました。

新しいWTCも計画・デザインから着手まで色々あったようです。また、竣工した建物のデザインにも否定的な意見もあるようです。経済的合理性による解決と強いリーダが居ないと出来ない事業だと言うことが想像できます。

今度の高層ビル群は今の時代のビルだという理解は出来るのですが、好きか嫌いかを問われれば、特に1WTCを私は嫌いです。どこか、アニメロボットが持つ剣のように見えてしまいます。

テロによって倒壊した旧WTCは当初、ニューヨーカーからは酷評されたようです。反対に、当時建築とは無縁だった私は形や色合いがとても好きでした。

新国立競技場建設は経済合理性を超越できるほどの強いリーダーが現れるのか、それともいつもの先送りでごまかすのか? 報道は相変わらず本質を取材も報道もせず金だ、誰だと騒いでいるだけ・・・。

judge-62015年07月21日

結局の所これから先、報道のように「よかったよかった」と行くのかどうか分かりませんが、現時点での結論を以下のように考えることにしました。新国立競技場の件です。

1.「何のために何を作るのか」が結局のところ不明のままだった。

オリンピックの開会式・閉会式のためらしい
ラグビー?結局どうでも良いらしい
サッカー?
音楽などのイベントホール?
世界標準とはちょっと異質な陸上競技場?

2.誰が作るのかはいよいよ分からなくなった。

税金が主体だとは言っても、まさか国民一人々の意見を取り入れて  
なんて考える人はそれこそ一人もいないでしょうと・・・。

3.金額の問題? デザインの問題?(急に嫌いな人が多くなったようだ)

専門家(建築・建築構造など建築関係それぞれの設計者・施工者、 設備運営者・競技利用者)の話は結局聞けずうわさ話に近い関係者の話でお茶を濁された。
競技者からは国民から祝福されない競技場では嫌だとか、それではここまでの反対が出なければ、これまでの計画で良かったと言うことなのか?・・・一部の競技者からは施設面への直接の提言もあるようなので多少は真剣なのかなと言うことは窺えられます。


それにしても、いまだに公表されていません。2520億となった設計者・契約寸前だと言われた施工者。ザハはデザインの原案者であり監修をしたかも知れませんが、工事費の根拠となる設計を行った設計者ではありません。法律上の設計者はザハではありません。また、公表されているのはザハ案を元にして基本設計を行った日本の設計事務所4社だけです。施工契約直前、着工直前と言ってこの辺を明らかにしない、追求をしない報道というのはいったい何なんでしょうか? 不思議です。

室温2015年07月22日

室温が30℃を超えてくると、さすがに暑そうです。少しへたばっているのは我が家の「ぶん」です。

気温が35℃を超える頃になると屋内もさすがに耐え難い暑さになります。我が家では、室温が31~32℃くらいになるとエアコンで温度調整をします。まぁ、ほとんど犬のため、犬の様子を見ながらエアコンを付けたり消したりしています。

必ずしも犬のためという訳ではないのですが、井戸を掘ろうと考えたことがあります。この辺は、意外と浅い位置に水脈がありそうなので井戸水を使った冷房装置・・・エアコン1台分くらいの設置費と扇風機の電気代くらいの維持費で24時間冷房が実現出来るのではと考えたわけです。

井戸掘りでいくら位、熱交換はこんな風になどと思い悩んでいる内に、エアコンが壊れ、直すなら容量の大きいものでもう少し効率よく冷暖房を、などと手直しせざるを得ない状態になり、結局は億劫になり井戸水冷房装置は計画倒れになりました。

もし今度、井戸があるようなお宅で、犬が居るようならこの冷房装置を是非提案してみたいと思います。

確認申請2015年07月27日

ガラス・金属・陶器と、様々な素材による「ふうりん」、写真は見せるために飾られたものですが、「ふうりん」の音色とともに思い描ける風景があることこそが大事なんだと改めて思いました。

設計事務所の仕事には設計・監理の他に手続き(建築確認や報告・許可など)を各機関へ行う業務があります。基本は建築基準法に基づく業務なので全国一律と思われるのですが、現実は確認一つとっても地域・機関によって様々です。

建築基準法だけでも、建築基準法→施工令→規則→告示→通達→条例→例規など思いつくだけでも一つの法を運用するにはこれだけあります。実際は建築基準法に関連する法律、たとえは都市計画法・消防法などがこれらと一体となって運用されより複雑になります。

住宅のように建物単体への規制がそれほど多くないものでは法律に悩まされることはそう多くはないのですが、それでも手続きに於いて、こんな所こそ規制緩和されるべきだと思うことは少なからずあります。

私自身の無知や間違いは横に置いて置くことをお断りしておきます。

浄化槽からの放流について、ある行政区域においてはいまだに放流同意なるものの提出が要求されます。たとえは道路側溝への放流で、ここへの放流同意をとるために、地区代表者の意見書をもらい水利組合への料金支払いが必要になります。国交省も環境省もその通達のなかで放流同意の提出は違法だと断言しているのですが・・・

浄化槽は確認申請・完了検査までは建築基準法(国交省)、設置・維持管理は浄化槽法(環境省)と二つの法により運用されています。これにより建築確認段階(計画の予定)で維持管理の担保のために検査費用の先払いまでさせられます。また、先のような同意などと言う問題が出てきます。

ほんの少しの規制緩和で単純でスムースな手続き運用になると思います。変なペーパーを買わされたり、計画段階での費用の先払いや製造メーカー変更による確認の取り直し、変更手続きなど余計な手間暇が一挙になくなると思う訳です。