外張り断熱2015年06月26日

季節柄なのか、最近は外張り断熱の住宅CMを聞かなくなりました。

一時、CMで毎日見ていると、これからは外張り断熱だけが唯一の断熱方法かのようになってきます。

鉄骨系の住宅ではかなり有効な方法でしょう。また、鉄骨壁下地の場合には特に内外面どちらかを断熱材で遮断してやらないと満足な断熱性能は見込めないでしょう。

上の図面は私のところで設計した外張り断熱の建物の床・壁・屋根の関係部分です。この建物は寒冷地で熱源は薪ストーブ、足元を冷やさず快適に長時間過ごせる事を目標に設計したものです。

木質の建物であれば断熱性能を断熱材を外張りとか充填とかで判断することは全く無意味です。それよりも、空気環境がどうなっているかが最も重要ではないかと、私は思っています。

この辺りの地域で多く作られている充填断熱住宅(柱、間柱の間に断熱材を挟みいれる)の場合、生活空間にとっての空気環境は室内の見える部分だけの空間になります。ところが、外張り断熱では、その空気環境は床下、壁の内部、天井裏までをも含み室内の見える部分と合わせた大きな体積空間になります。大きな体積は安定した温度環境を作るというメリットも作り出すのですが、見えない隠れたところの空気環境と室内が同じ空間だということも考えに入れて置かなければなりません。

5年、10年と住んでみて気づくのですが、吊り戸棚や換気フードの後付部分同士の隙間への埃・カーボン・カビなどの付着、タンスの裏の埃・・・空気が通過する部分には必ず埃も通過し、滞留や速度の変化で埃はへばりついてきます。外張り断熱ではこれと同じ事が壁の内部、床下、天井裏空間でおこる可能性があります。

本当に、見えない空間と室内とを同じ空気環境として、空気を循環させてしまう事が良いのでしょうか。

どうしても外張り断熱をやるのだとすればデメリットにならない為の維持管理の方法も併せて行っていく必要があります。

建物の基本はその形態および設備を含めて出来るだけ簡素で無ければならないと思います。