judge-22015年06月20日

最近の建築がらみの事件に免震偽装があります。

建物の基礎付近に設置して地震力が建物へ伝わるのを減衰させるゴム状の装置がその性能を偽装していたと言う事件です。

際だったキャラクターが居なかったためかマスコミではあっさりと取り扱われてしまったようです。人によっては本質が違うと言っているようですが、耐震偽装問題(通称アネハ事件)とは大違いです。耐震偽装の時は直接偽装が行われた建物の経済規模とは比べようのない程の建築経済不況がこの事件によって発生してしまいました。

今回の免震偽装による報道を見ていると、だれに向かって報道しているのかさっぱり解らないことに気づかされます。

報道では、免震装置製造メーカー担当の一人(または特定の少人数)が性能データーを改ざんした。国土交通省の発表では想定される最大震度ですぐに倒壊することはない。至急、製造メーカーは設置された全装置について構造検討を行い性能を満たさない場合は交換する。

報道は概ね上記程度の内容の繰り返しを事件発覚後少しの間行っただけです。事件発覚後半年ほど経ったここに来て製造メーカーの会長、社長が来年の株主総会をめどに一連の責任をとって辞任の意向であるとの報道が出てくる程度です。

これらの報道を見ているとその内容は製造メーカー、行政の言い訳を代弁しているとしか思えないものです。

建物の所有者・利用者が抱く安全への問題、法律(建築基準法)の問題、建築審査(行政、確認機関)の問題、製造者・建築施工者・設計監理者の問題、このどの問題についても報道していないことに気づきます。

法律一つをとっても、建築基準法は偽装された免震装置が設置された建物を使い続けて良いとはどこにも謳っていません。この件はどう考えているのでしょうか。国は、建物完成後を適法に維持させるためにいろいろな通達を出し規制を掛けています。とりあえずすぐに壊れることはないだろうと違法の件は目を瞑ってくれると言うのでしょうか。

間違っているとはいえませんが、決して正しいとはいえない報道も身近にはあるのだと今回の事件報道を見て思います。やはり、行間は自分で埋めていくほかありません。